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 イギリスはロンドンの北方約100キロ、フェンと呼ばれる平原の一角に私の住んでいるケンブリッジ市があります。人口約10万人。まわりはイギリス有数の農業地帯ですが、世界各地から学生、研究者、観光客があつまる国際的なまちです。

 私は4年ほど当地の大学院に在籍しているのですが、このほど植田和弘京都大学教授をリーダーとする研究チーム1)に参加し、初めてケンブリッジ市民のごみの内容を直接調査分析する機会にめぐまれました。方法は京都市などを対象に日本で長年おこなわれてきているごみ細組成分析法に準じ、計45家庭からの一週間分のごみをサンプリングし、約100項目に分類、計量しました。

 現在ケンブリッジのごみ収集は約4分の1の地域でコンポスト可能物とその他のごみの2分別、残りの地域は混合ごみです。この他に市全域で月2回紙の各戸収集があります。ガラスびんや金属かん、衣類などはスーパーマーケットの駐車場など市内約50ヶ所にある「リサイクルセンター」へ持っていくことが奨励されています。今回はごみとして排出されるものの組成を把握するのが目的なので、混合ごみを調査対象としました。

 調査結果の詳細な解析は今後の報告にゆずりますが、第一印象は家庭から排出されるものは意外なほど日本と変わらないということでした。

 台所ごみ(厨芥)の割合が低い分、他の成分の割合が高い(重量比)というのが全般的傾向です。未確認ですが、台所ごみの水分含有量が低いために軽くなっているという要素があるようです。当然と言えば当然ですが、台所ごみの中に米粒はほとんど見られず、かわりにじゃがいもの皮がたくさん。

 厨芥のなかに「手をつけていない食料品」という細項目があるのですが、これは日本での調査例とくらべてやや多いくらい。日本人が特に食べ物を粗末にするということではないようです。

 プラスチックごみは日本より少な目です。牛乳がたいていプラスチック(ポリエチレン)びんで販売されており、かなり大量に排出されているのですが、トレイやパックが少ない。リターナブルびんによる宅配牛乳もあり、それが普及している地域ではごみ減量効果があきらかでした。

 紙ごみがごみ全体のおよそ3分の1をしめます。リサイクルされずにごみとして排出されている新聞紙が目立ち、紙の分別収集の協力率向上の余地があることをうかがわせます。また、調査地域の家族構成の偏りからかもしれませんが、使い捨て紙おむつの割合も日本での数値を大幅に上回っていました。イギリスらしいといえば、住居形態によって出てくる新聞が顕著にちがうこと。戸建てからは「タイムズ」などのブロードシート紙、市営団地からはタブロイド紙ばっかり。他のごみ成分でもかなり差があり、社会階層が住居形態と消費行動、そしてごみを規定する重要な要因になっているようです。

 このように、イギリスでも使い捨て商品、リサイクルしにくい包装、住民の協力を得る難しさ、などごみに関して日本と似た問題を抱えています。ひとつ違うのは第三世界援助などのチャリティー団体が運営するリサイクルショップが盛況なこと。今回の調査結果にこの影響を見ることは難しいですが、チャリティー団体を支持する気風と古いものは良いものだという価値観は日本でももっとひろまるとよいと思います。


脚注1) 日本学術振興会・未来開拓学術研究推進事業/低環境負荷・資源循環型居住システムの社会工学的実験研究/食料品容器包装材抑制販売ソフト研究チーム
©Kohei Watanabe (1998) [ kw10004@cantab.net]